☆「お盆」と「お彼岸」 皆さんは、お墓参り(先祖供養)と聞くと次の二つが思い浮かぶのではないでしょうか? ‥「お盆」と「お彼岸」 これらは、わかっているようで、わかっていない部分が多いようです。 そこで、ここでは、これらの知識を得ることにより、お墓参り(先祖供養)が皆様にとってより豊かなものとなりうるよう、「お盆」と「お彼岸」について理解を深めてみましょう。 ・「お盆」と「お彼岸」の違い まず、「お盆」と「お彼岸」のいずれもご先祖様を供養する儀式と認識されていると思いますが、意味合いからすると微妙に異なるところがあります。 それは、「お盆」は、「彼岸」にいるご先祖さまを「此岸(現世)」にお迎えするものであり、一方、「お彼岸」は、「此岸(現世)」側から「彼岸」に向かって拝むことによって、ご先祖様に近づくものであるということです。 ここで、出てきた「此岸」と「彼岸」とは 此岸:(煩悩に満ちた)現世 彼岸:悟りの境地に達した世界、あの世、極楽浄土 を示す仏教用語になります。 ・ご先祖様をお迎えする「お盆」 上記のように「お盆」では、ご先祖様を此岸(現世)に来ていただくものとなっているため、ご先祖様をお迎えする「迎え盆」と、ご先祖様をお見送りする「送り盆」とがあります。皆さんは、お盆の時期のお供え物で、キュウリとナスで作った動物に見立てたものを見たことがある方も多いでしょう。 これらは、キュウリの馬とナスの牛であり、お盆の際にご先祖様が使われる乗り物なのです。そして、それぞれには、 キュウリで作った馬は、こちらに来ていただくときの乗り物で、早く来て頂くように。 ナスの牛は、お帰りいただくときの乗り物で、たくさんのお土産を積んでゆっくりと帰って頂くように という思いの表れで、お供えされるものになります。 ・ご先祖様の方に向かって拝む「お彼岸」 これに対して、「お彼岸」は、方位磁石のようなものが普及していなかった時代に、お釈迦様がいらっしゃるとされる極楽浄土(彼岸)の方向(西の方向)を僧侶が正確につかめるお彼岸の時期(太陽が真西に沈むため)を修業時期として定めたことからくる日本仏教特有の儀式から生まれたものです。(春分・秋分の日をお彼岸とするのもここからきています。) このように、「お彼岸」は、ご先祖様側に何かをしていただくものではないため、お盆の時のような特別なものはありません。強いて言えば、古来の僧侶が太陽を用いて極楽浄土に向かって拝んでいたものが、一般の人々は太陽の代わりにお墓に向かってお祈りをするようになったため、彼岸に墓参りをする風習が根付いたのではないでしょうか? |